来店イベント282億円市場、配信者の「公約」はなぜ消えたか

来店イベント282億円市場と公約のアイキャッチ画像 業界ニュース

この記事でわかること

  • 来店イベント・来店取材が、年間約282億円の市場になっていること
  • かつての「公約」が、広告宣伝ガイドラインで禁止された経緯
  • 「公約」が消えたあと、来店演者の配信は何で選ばれるのか

パチンコホールの広告宣伝市場で、「来店イベント・来店取材」が約282億円と、ウェブ広告に並ぶ規模になりました。一方で、かつて来店イベントの目玉だった「公約」は、業界のガイドラインで禁止されています。

市場は大きくなったのに、看板だった約束は消えた。この2つは、どうつながっているのでしょうか。公開されているデータと、ガイドラインの流れから整理します。

「282億円」の中身

数字の出どころは、矢野経済研究所が2025年11月17日に発表した、パチンコホールの広告宣伝市場の調査です。2024年の市場規模は839億円で、前年より36億円、4.5%増えました。

項目内容
2024年の広告宣伝市場839億円(前年比4.5%増)
ウェブ広告287億円(34.2%)
来店イベント・来店取材282億円(33.6%)
うち来店イベント約220億円と推計
演者の人数業界全体で1,400〜1,700人と推計
1店舗あたりの月額広告宣伝費平均107.7万円(901台以上の店は347.1万円)
今後の予測2025年868億円、2027年918億円

「来店取材」は、パチンコ情報誌・攻略誌などのメディアによる取材のことで、演者の来店とは別の枠です。282億円の大半は、約220億円とされる来店イベントで、タレントやインフルエンサーなど、いわゆる「演者」が出演するものが含まれます。

POINT

調査は、ホールや広告代理店への取材とアンケートによる推計です。市場規模は実績の売上ではなく、推計値として読む必要があります。

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矢野経済研究所は、2024年に改訂された業界の広告宣伝ガイドライン第2版で、第三者に依頼する取材の指針が示されたことが、利用が広がった背景にあるとみています。ルールが整うほど市場が広がった、という点は、このあとの話にも関わってきます。

そもそも「公約」とは何だったのか

ここでいう「公約」は、配信者や演者が個人で約束することではなく、ホールが来店イベントの日に、出玉や設定について事前に示す約束のことです。たとえば2023年の投稿には、次のような告知が並んでいます。

「設置台数の10%が6台並び⑤⑥」のように、来店日の設定配分をあらかじめ書く形です。お客さんにとっては、行く店を選ぶ分かりやすい材料でした。同時に、射幸心を強くあおる表現でもありました。

「公約」は、なぜ消えたのか

流れを年表にすると、次のようになります。

時期出来事
2023年2月ホール関係団体が、広告宣伝ガイドライン第1版を発出
2024年3月第2版。第三者に依頼して行う広告の類型が追加され、公約のある来店取材は不可に
2025年5月29日第3版を発出。公約系イベントの禁止が、あらためて明示された
2025年7月1日第3版の本適用が始まる

第3版は、全日遊連・日遊協・MIRAI・余暇進の4団体が、警察庁の確認を得て、第2版を改訂したものとされています。広告表現の透明性と適正性を強めることが目的で、公約系の告知のほか、設定を示唆する表現にも、厳しい目が向けられています。

ここで押さえておきたいのは、ガイドラインが対象にするのは、ホール営業者の広告宣伝だという点です。法律で来店そのものを禁じたわけではなく、業界団体の自主ルールを、年を追って細かくしてきた形です。この流れを、2026年9月に、次のように整理した投稿もあります。

POINT

公約が消えたのは、演者が約束をやめたからではありません。ホールの広告に使える表現が、ガイドラインで狭まった結果です。

公約がなくなったあと、何が演者を選ばせるのか

出玉の約束という材料が使えなくなると、来店イベントの価値は、「誰が来るか」に寄っていきます。演者の側から、この変化を語った投稿もありました。

ホールが演者に求めるのは「集客」で、そこには出玉や、告知のガイドラインも絡んでくる、という指摘です。2025年1月の投稿で、公約が使えなくなる前から、この問題意識があったことが分かります。

ここから先は、編集部の見立てです。公約に頼れなくなれば、お客さんが演者を選ぶ理由は、普段の配信の面白さや、実戦の見せ方、ファンとの距離感に移っていくはずです。演者が1,400人以上いる市場では、その差が、集客力の差としてはっきり出やすくなります。

来店演者の仕事やギャラについてはこちらの記事、ギャラをめぐる論争、広告規制の見通しはバブルは続くのかの記事で触れています。年明けの「終焉」の噂については、当事者の反応をまとめた記事もあります。

配信を見る側にとっての変化

  • 見る側:「設定が入っているらしい」という話より、配信の中身で選ぶ場面が増えます
  • 配信する側:実戦の内容や、トークの力が、これまで以上に問われやすくなります
  • 探すとき:同じ日に複数の来店配信が重なることもあるので、一覧で見比べると選びやすくなります

気になる演者は、お気に入り登録しておくと、配信が始まったときに通知が届きます。同じ日に来店が重なっても、見逃しにくくなります。

来店イベントの配信を、スマホで見る機会が多い方向けに、ワイヤレスイヤホンも載せておきます。

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編集部コメント

今後どうなるか:市場は2027年に918億円と、緩やかな拡大が予測されています。一方で、ガイドラインは版を重ねるごとに細かくなってきたので、来店イベントの見せ方は、今後も変わっていくと考えられます。

配信者への影響:公約という「約束」がなくなった分、配信のなかで、自分を見てもらう力が、集客に直結しやすくなります。

視聴者への影響:設定をにおわせる話に頼らず、配信そのものを楽しむ見方が、これから主流になるかもしれません。

編集部として注目している点:ガイドラインの影響が、配信の同接や、来店演者の顔ぶれに表れるかどうかです。2027年の調査結果が出たら、あらためて数字を確認します。

まとめ

来店イベント・来店取材は、2024年に約282億円と、広告宣伝市場の3分の1を占めました。一方で、かつての「公約」は、広告宣伝ガイドラインの改訂で禁止されています。出玉の約束という材料が使えなくなったことで、来店演者は、配信や実戦そのものの魅力で選ばれる度合いが強まりそうです。

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